申出内容詳細
【申出内容(趣旨)】
 補聴器を使用しているが、聴力の低下等により聞き取りが難しいため、講師が補聴器専用マイクを適正な使用方法(※)により使用してくれることを希望するが、使用してくれないため、使用を認めてくれるようあっせんをしてほしい。
 ※マイクの適正な使用方法:マイクを首に掛ける等により話し手の口元から15~20cm程度の位置にマイクをつける
【申出者の言い分】
事業者より配慮をしてもらっているが、以下の理由により、配慮が十分ではない。
①マイクの適正な使用方法(マイクを首に掛ける等により話し手の口元から15~20cm程度の位置にマイクをつける方法)でないと、聞き取りづらい。
②会話内容が聞こえていても、その発音を明瞭に聞き取ることが困難であることが多く、初めて聞いた言葉は理解が難しい。
③本人に向かって話をする時間は限られており、聞き取りが困難であることが多い。
④授業外の個別対応では、講義内容への理解を補うことができていない。
【事業者の言い分】
次の配慮をしているため、それ以上の対応をすることはできない。
①マイクを聴覚障害のある当事者の机の上に置くことを認める。
②当事者を最前列の座席に座らせる。
③講義の際に当事者に向かって話をする。
④(聞こえづらいことによる)講義内容への理解が難しい場合は個別に対応する。
なお、他の生徒に向けて個別に発信した会話内容が、本人に伝わることがないよう、マイクのスイッチを入切しなければならない等の行為が講師にとって過重な負担となる。また、入切を失念すれば、個人情報漏えいの恐れがある。
【あっせん内容】
補聴器使用者用マイクの使用を希望する難聴者が授業を受講する場合、講義内容を正確に聞き取ることにより、他の受講者と同レベルまで理解できるよう、講師の先生方には、取扱説明書等で示されている適正な使用方法によりマイクを使用することを求める。
【調整委員会の考え方(あっせんを行う理由)】
事業者は、当該の者に対して一定の配慮を実施しているが、「聴覚障害者は補聴器や人工内耳を装用するほか、コミュニケーション方法には手話、筆談、口話など様々な方法があるが、どれか一つで十分ということではなく、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせるなど使い分けている。(厚生労働省「厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」より引用)」ことからも、本人の聴力や聞こえ方の状況に合わせて、必要な配慮を行うことが求められる。
また、マイクのスイッチ操作や受け渡しが過大な負担になるとは言い難い。
【結果】
 他の受講者の了解を得たうえで、事業者側がマイクを使用することとなった。