第2回横浜市障害者施策推進協議会会議録

日時
平成30年11月21日(水曜日)13時00分~15時00分

開催場所
横浜市役所 5階関係機関執務室

出 席 者(会長以外五十音順)
渡部匡隆会長
稲垣宇一郎委員
大友勝委員
大橋由昌委員
片岡充彦委員
清原忠夫委員
清水龍男委員
鈴木仁委員
武安宣明委員
多田葉子委員
田中梨奈委員
中根幹夫委員
永田孝委員
平井晃委員
広沢克紀委員
山口哲顕委員
山田初男委員
渡邊雅子委員

欠席者
柴田康光委員
渋谷治巳委員
鈴木真実委員
奈良﨑真弓委員
森和雄委員
和田千珠子委員

開催形態
公開(傍聴者2名)

議題
1議題
福祉授産所民営化に伴う法人公募について
2報告事項
第3期横浜市障害者プランの進捗状況について

議事
議題
福祉授産所民営化に伴う法人公募について
資料1について事務局が説明した。

清水委員)授産所を運営するにあたって、大体定員の半分程度の利用者がいるわけだが、職員を定員分配置すると、とても運営することができない。また、公共施設を使うにあたっての家賃はどうなっているのか。

事務局)現在の利用者数は、定員に比べてかなり少ない状況になっている。定員は施設ができた当時に想定した作業内容や利用者の方の状況などを参考にしたが、実際にこの定員で活動するには少し狭いという事情がある。これから公募をするにあたっての考え方については新たにお示ししたい。それに対してどれくらいの利用者を想定するのか、就労継続支援B型としての報酬も考えながら、応募される法人の方にはご提案をいただければと考えている。家賃については、公立の施設の中にできるとはいえ、通常の就労継続支援B型の事業を運営していただくことを想定している。具体的な金額についてはこれから決めていくが、公立施設を使用するにあたっての庁内のルールを基にしながら、周辺の同種の事業者の家賃相場等も考えながら決めていきたいと考えている。

田中委員)民営化の趣旨はよく分かる。市の役割が変化して、担うべき役割や、注力するべきものに絞っていくのであれば、この時期に時間をかけてやる理由を説明してほしい。他のことはスピーディーに進められているが、就労継続支援B型ということを考えると、この4か所に対してこれだけ時間をかける理由を教えていただきたい。

事務局)委託に関して時間がかかっているように見える理由については、ある程度の募集と選定と円滑な業務の引継ぎ等を考慮した。今年度中に選定して、来年1年は引継ぎ期間と考えている。選定から実際の民営化までの時間が少し空いているように見えてしまうのはそういった理由だ。また、4か所を一度に委託せず、2回に分けて行うという事に関しては、公立の施設をそれぞれ公募して法人を選定してゆく作業について1度に全て変更するのではなく2回に分けて行いたいと考えている。実際に利用されている方のうち、南と戸塚については比較的長く利用されている方が多い。状況の変化等を受け入れるための時間を少しいただきたいと考えている。はっきりとは申し上げにくいが行政の手続き上の事務的な理由から2回に分けるという事と、授産所選定については今の利用者の状態を見て前段と後段に分けさせていただいたという事だ。

渡部会長)授産所民営化と下部組織である選定委員会の設置と併せて法人の公募を行う事についてご承認をいただけるか。

(一同承認)

渡部会長)それではこの後の手続きをお願いしたい。

報告事項
第3期横浜市障害者プランの進捗状況について
資料2について事務局が説明した。

中根委員)計画相談について。現在使用している意向確認書が今年度いっぱいで廃止になる。それを受けて計画相談で、なかなかセルフプランが難しいと感じているご家族から、これからサービスが使えなくなるのではないかという不安の声が多く出ている。意向確認書の廃止後について、どのように対応していくつもりなのか。

事務局)意向確認書というのは簡易セルフプランという位置付けで、本人の意向を確認してサービス等利用計画を作るための暫定的な取り扱いだ。意向確認書の取り扱いについては今年度中で原則終了のご案内をしている。セルフプランか計画相談支援のいずれかを選択しなければならないという仕組に27年の4月から変わっていることもあり、3年間の猶予という取り扱いで進めてきた。先ほど実績でご報告をした通り、36.4%という状況である。これからどうするかという事に関しては最終的な詰めをしている段階だ。関係の団体の方ともご相談をしつつ、今年中には対応を決めてお知らせしようと思っている。もうしばらくだけお待ちいただきたい。

大橋委員)取り組み1-3の情報の保障について。行政情報における合理的配慮の推進という言葉が載っている。しかし市のホームページなどでは、PDFファイル等の、スクリーンリーダーを使用して音声を読み上げることの出来ない形式のものが大変多く掲載されている。これでは、プランに書いてあることと違っているのではないか。配慮に欠けていると思う。視覚障害だけではなく、障害のある方の中には情報取得に対して困難な方も多いと思うので、そのあたりの配慮をしっかりとやっていただきたい。次に、点訳・音訳のボランティアについて。手話とか要約筆記などの盲聾関係のほうは進んでいるようだが、視覚障害の立場から申し上げると、点訳・音訳などは無料奉仕という概念が一般的に強い。点字図書館等でもボランティアの高齢化と担い手不足が顕著だ。他の通訳関係などでは公的な保障がある場合があるのに対して、点訳・音訳などは無償のボランティアでいいということがある。そういったことが壁になっていて、厳しい経済事情の中で点訳・音訳ボランティアをやる人も減っている。点訳・音訳ボランティアの養成も含めて、もう少し意思疎通支援事業の中での視覚障害者へのサービスの充実を図っていただきたい。特に選挙公報に関しては公職選挙法の169条の問題がある。原文を点訳・音訳すると改ざんにあたってしまうので公的には出来ない。来年の統一地方選挙なども、私たちが窓口となり、市のボランティアの方々にお願いをしてやっている。そういうことも含めて、無償のボランティアで良いというのは情報の保障という意味で、実際としての姿勢が問われるのではないか。そのあたりの事もぜひご配慮いただきたい。

事務局)ホームページについては、横浜市全体が分かりにくく検索がしにくいという事も含めて、現在改訂をしているところだ。その改訂をするにあたって、きちんと視覚障害者の方にも対応できるような仕組みで進めていくことを原則にしているが、なかなか徹底ができていない。PDFファイルについては作り方によって音声訳ソフトが適応できないという事は伺っている。差別解消の庁内推進会議においてPDFだけではなく、必ずテキストデータも併せて掲載するようにすることを各局区に推奨しているが、まだ十分でないことは事実だ。引き続き働きかけをしていきたいと考えている。また、選挙公報をはじめとして、音声訳、点字訳についてはボランティア的な活動が中心となっているのは事実だと思う。今日いただいたご意見を踏まえて検討はしていきたいと考えている。

渡部会長)人材確保という点からも是非お願いしたい。

渡邊委員)先ほどの意向確認書について。29年から30年にパーセンテージが少し上がったといっても、60何パーセントの方がセルフプランになると予測される。個別支援計画すらも支援者が書きがちになってしまっている事業所が多いと思う。それはご本人のものになっていない。意向確認書に対する意見はあったが、ご本人が書くという点ではとても良かったと思う。これからセルフプランに変える時に、ご本人が書けるような利用計画書の書式にしてほしい。また、それを受け取るサービスを提供する事業者側が、ご本人が確認していることを把握できるようにルール化されればセルフプランもまんざらではないと思っている。生活支援センターとしてもセルフプランを作る時もサポートくらいは出来る業務かなとも考えている。

事務局)ご意見として承りたい。セルフプランの様式については当事者団体の方のご意見を伺いながら、ひな形を作っているところだ。様式は決まったものでなくてはいけないわけではないが、決まったらお示しをしたいと考えている。

中根委員)グループホームの共同生活援助について。毎年200人分、40か所位を増やしていくという事だと思うが、まだ今でも足りていない。横浜市としてずっと作り続けていくほかない。グループホーム以外の住まいの形、例えば単身生活に移行していく方への働きかけや支援が必要になってくると思う。そういった場合に、グループホームに入居されている方々が、ご自分の力だけで単身の生活に移行していくというよりは何かしらのソフト面での支援が必要だと思っている。例えば、新しく導入される自立生活援助はグループホームに入居されている方が使えないといった制約がある中で、どういう社会資源が動いて、ホームに入居されている方々が単身生活に移行していけるような橋渡しを横浜市としてどうイメージをしているのかをお伺いしたい。

事務局)ご指摘の通り、グループホームでの支援が適している方は引き続き利用していただけるようにグループホームの整備に取り組んでいるところだ。様々な暮らし方がある中では、今のご意見の様に単身で暮らすという事も選択肢として実現出来るようにしていきたいと思う。アシスタント事業はまさにそういった使い方をしていただいていると思う。自立生活援助事業は国の事業で単身の方の支援という事なので、こちらも使いながら進めていく。アシスタント事業はこれまで横浜市が培ってきた色々な事例もあるので、自立生活援助で支援が不足する部分については、引き続きアシスタント事業を続けて支援をしていくことが必要だと考えている。

清水委員)多機能型拠点について。海寄りの3か所がなかなか決まらない。これはあんしん施策で財源を確保されているのだから、財政局などと調整して早急に整備していただきたい。

事務局)引き続き、精力的に取り組んで参りたい。

大友委員)21ページで居住支援協議会のところの新たな住宅セーフティネット制度について。この事業では生活保護の人は対象になっていないと思う。実際にはグループホームに入居している人でアパートに住みたいという人に対してはこの制度では対応できない。その辺りは考えてほしい。どのように考えているのかを説明してほしい。次に、地域生活支援拠点の整備について。平成30年は2か所、31年度で18か所の整備となっている。この18か所の整備に関しては確実に実施できるように予算措置をお願いしたい。

事務局)新たな住宅セーフティネット制度については、居住支援の仕組み以外にも、オーナーが高齢者や障害者や低額所得者などの住宅の入居を拒まない登録制度というものがある。その他に、家賃補助付きセーフティネット住宅という、最大4万円の家賃補助を行う制度もある。家賃補助については生活保護の方は対象ではないが、入居を拒まない登録制度の中では生活困窮者という事で生活保護の方も含まれている。また、居住支援協議会の中でそういった方の入居支援や、居住支援の仕組みも併せて検討させていただきたいと考えている。
 地域生活支援拠点については、横浜市では新しい施設を拠点として作るのではなく、既存の基幹相談支援センター、生活支援センター、区の福祉保健センターの3機関を18区に整備をしているので、そこを中核に入所の施設であるとか、様々な機関をつなぐ仕組みとして作っていこうと考えている。その3機関が中心になるということで言えば、生活支援センターの機能としては標準化を図っていくことが必要だと思っている。出来る限り努力をしていきたいと考えている。

大友委員)標準化というのなら確実な予算の確保はお願いしたい。あと、生活保護でグループホームに入っている場合、1万円の家賃補助があるが、横浜市の家賃補助は適用にならない。グループホームに入っている間は家賃補助があり、出たらなくなるとなかなか出たくても出られなくなる。そういうことを促進することが全体の予算の削減にもつながると思う。また、利用者が望んでいる生活が出来るという2つの面でぜひ検討していただきたい。

渡部会長)事務局はご意見として受け取ってご検討いただきたい。

多田委員)グループホームについて、先ほどの中根委員の意見と逆になってしまうが、おひとりでお住まいになっていた方が、高齢になりひとりで暮らすことに関して自信がなくなり、グループホームに入ってこられる方がいる。そういった高齢になった方たちのグループホームでの暮らしについて、以前モデルという形で検証されていたと思うが、その後どのように展開しているのかという事を聞きたい。

事務局)グループホームに入居されている方の高齢化、重度化については国も含めて課題になっており、対応を図られる事が求められている。高齢化、重度化対応のグループホームに関してはモデル事業としての位置付けは終了し、今はグループホームの制度の中で引き続き運営されている。モデル事業の時代を通して事業費がかなりかかるという事と、実際に運営するにあたり必要な人材の確保など、苦労があると聞いている。国においては今年の4月の改正で日中支援型のグループホームも出来た。これをどのように活用しながら、日中の高齢になってグループホームの昼間に外の通所施設を使うという事ではなく、日中の活動もグループホームの中でするという事を高齢化対応の一つとして考える必要があると思っている。国事業の活用も含めて今後の展開を検討していきたいと思うので、またご意見をお寄せいただきたい。

鈴木委員)先ほど生活支援センターのサービス標準化という話があった。今、支援センターの人員の体制や、計画相談の事務処理の負荷からすると、より重度の方の計画相談の作成の事務処理にソーシャルワーカーのマンパワーが注がれていまい、支援センターを利用されている方の個々の相談支援が後回しにされている。そこで、計画相談の報酬を上げるのは難しいとは思うが、報酬が少ないので人が増やせない現状がある。結果、利用者が求めているニーズが全然満たされていないという現実をお伝えしたい。

渡部会長)事務局としてしっかり受け止めてもらいたい。

事務局)生活支援センターの標準化について検討しているという事をお伝えしたが、標準化という形だけのものではなく、生活支援センターに求められている、「何をしなければならないのか」という事も併せて議論しながら、標準化の検討をしている。その中では計画相談の負担の問題や、体制の問題なども検討させていただいている。

鈴木委員)私が福祉施設などを使って強く感じていることがある。支援する、されるという関係の中で福祉の窓口や自立支援協議会、区の高齢・障害支援課、障害企画課などに個人的に訪ねて意見を挙げさせていただこうと努力をしてきた。しかし、ひとりの障害者の意見として全く見向きもされなかった。今回はYPSを通じてこの場に立たせていただいて感謝している。またまだ、私だけではなく障害を抱えている人たちの中には、地域の協議会などの場で意見を言いたい方はたくさんいらっしゃると思う。その意見を対等の立場で話し合える場をもっと作っていかなければならないと思う。

渡部会長)ご指摘の通りだと思う。この会議も含めて今後取り組んでいく上での大事なご発言という事でよろしいか。

田中委員)精神科救急医療等の説明があまりなかったと思う。精神障害者の迅速な地域移行や円滑な地域定着という事を考えていくと、生活上の余裕が困難というのは、精神症状の波とか、生活上のストレスからくるものであったりする。一番重要なのは医療との連携だと思う。精神科救急については市内完結というか、できる限り市内でという事が進んできている。しかし、救急に至る前の医療体制や福祉との連携という部分がまだまだ不十分だという印象を受けている。その辺りについての今後の見通しを教えてほしい。救急の対応というよりも救急が発生しない体制というのをどのように日常の中で作っていくのかという事についてどのような協議がなされているのかをお聞かせいただきたい。

事務局)精神科救急については基幹病院や輪番病院等にご協力をいただきながら対応をしているところだ。ご指摘をいただいた通り、そういった状況になる前に普段の状況が大事だというご意見は全くその通りだと思う。また、医療に普段からどう繋がっているのかという事も重要だと思っている。ただ、医療に繋がりにくい方などが、区役所で相談に出来る等の働きかけができるような相談体制を含めてやっていく。これという策は無いが地道にやっていく事が重要だと考えている。いただいたご意見を踏まえて推進をしていきたい。

大橋委員)国はインクルーシブ教育を推進している。高校段階までのインクルーシブは不十分だとよく言われている。横浜市の場合は現状としてどうなのか。例えば一般高校に通う弱視生徒の拡大教科書を出版社が作ることはまず無いので、高等部の場合は、ボランティアに依頼をして父母が高額な製作費を負担しているという状況だ。拡大教科書については2008年の教科書バリアフリー法の成立などで義務教育段階では良いが、高校生に関しては無い。就学奨励費制度もあって、視覚特別支援学校などは就学奨励費で賄える。2013年からは通常の小中学校で学ぶ義務教育の段階では就学奨励金が適用になったが、高校の場合はなっていない。インクルーシブ教育と謳っていながら、高校の点字や拡大の教科書も含めて、保護者の過度な負担を前提としたインクルーシブ教育なのではないか。そのあたりのことは今回のプランには全く出ていないので、実態はどうなのかという事がひとつ。もう一つが、今年度の通常国会で改正学校教育法が施行されて、ICT教育がスタートした。前回も申し上げたが、視覚障害者に対するソフト等は開発がどうしても遅れてしまっている。ICT教育が平等にいくようにご検討を願いたいと思っている。

事務局)高校でのインクルーシブ教育の推進については、ご指摘の通り、まだまだ充実をしなければいけない事が多々あると思う。お話のご趣旨も踏まえて、教育委員会内でも就学奨励費の所管をしている部署や高校教育を担当している部署、あるいは県立の学校を所管している神奈川県などにしっかりと現状の情報を共有して、進められるべきところを進めなければいけないという認識でいる。取り組みを進めていきたい。ICTの教材の推進という事について。前回も大橋委員からお話をいただいており、この部分についてもまだまだ取り組める部分があると考えている。例えばある教材が他の教材に比べて遅れて児童生徒の所に届くというタイムラグについて。教材を入手するための手続きでは、あらかじめアプリケーションソフトというものをタブレットの中に入れ込んで使えるような環境を整えること、さらにその教材自体を横浜市の教育委員会で一括管理をしているところに、学校がIDを入手してその教材を申請して取り寄せるという手続きがある。これは横浜市教育委員会でまず教材を確保したうえで、学校からの申請に基づいてその教材を児童生徒に届けるという手続きになっている。この中でも横浜市内部の手続きであれば、手続きを早めることも出来る等、まだまだ工夫できる部分はあると考えているので、そのように取り組ませていただきたいと考えている。

渡部会長)引き続き推進をお願いしたい。

片岡委員)特別支援学校の医療的ケア体制の整備という所で、今、特別支援学校で医療的ケアを必要としているお子さんが増えている状況にある。その中で横浜市でも当該の学校に対して看護師の配置を事業内容として謳っているところだ。看護師の配置については、国も方向性は出している。今後看護師配置について、増員も含めて考えている状況があるのかどうかをお伺いしたい。

事務局/現状、肢体不自由特別支援学校5校に看護師を配置している。学校の規模によって3名、または2名の配置になっている。さらに肢体不自由以外の特別支援学校、具体的には知的障害特別支援学校、盲特別支援学校、聾特別支援学校においても、医療的ケアのニーズがあるので、どのように対応していくべきか、看護師の配置も含めて課題について取り組んでいきたいと考えている。さらに来年の4月に新しく開設する予定の左近山特別支援学校にも看護師配置を検討している。その取り組みの中で、現在医療的ケアを必要としている児童生徒はスクールバスの利用が難しいが、福祉車両に看護師が同乗するような形で通学の支援が出来ないかという検討を進めている。さらに、文部科学省のモデル事業で、より高度な医療的ケア、例えば人工呼吸器を使用している児童生徒に対して、現状では保護者が学校に付き添うような形を取らざるを得ないが、その保護者負担を軽減できないかといった研究事業も行っている。最後に確保という意味では厳しいものがある。年度途中、あるいは年度末に看護師が退職をした後の後任を探すのにも苦労している。ひとつの要因としては看護師の社会的なニーズというものが引き続きある中で、どうやって学校に勤務してもらうかという事が必要だと思っている。先ほど、増員の予定についてお話があったが、増員という手立ての前に、現在、他の看護師職に比べて報酬単価が低い学校看護師の現状があるので、給料のベースアップのようなことが図れないかという事を考えて、予算の確保なども出来ればという取り組みをしている。

片岡委員)特別支援学校に通学をする医療的ケアが必要なお子さんたちの中には地域の学校で勉強したいという子もいる。地域の中では看護師がつけられないという事で、どうしても特別支援学校の選択になってしまうお子さんもいる。地域の小学校、中学校に医療的ケアが必要なお子さんたちを入学させるという事で看護師をそこに配置をするという事も今後考えていただきたい。施策の中にこういったことも入れ込んでいただければ、インクルーシブな教育が推進できる部分もあると考えている。

事務局)特別支援学校以外の一般学級における看護師や医療的ケアのニーズはご指摘の通りもちろんある。今年度から徐々にではあるが、一般の学校においても医療的ケアが必要なお子さんもいる学校に対して、看護師の配置というものを進めている。特別支援学校に限らず、インクルーシブな教育を推進するところで一般校も併せて対応していければと考えている。

大橋委員)中央省庁が雇用する障害者数の水増しが社会問題化している。横浜市の雇用率はどうなっているのか。水増しはあるのか、現状をお聞きしたい。もう一つが私たちは視覚障害者の単一障害の就労に関すると、あんま、針灸、マッサージ、あはき関係の職種に従事している人が大変多い。神奈川県ではヘルスキーパーというものを採用している。横浜市にはない。是非、ヘルスキーパーの雇用を促進していただきたい。ヘルスキーパーというのは大手の会社などにある、社員向けのマッサージやリフレッシュルーム等の職員の福利厚生、労働衛生行政の観点から大企業などでも積極的に使われている。横浜市の場合でも県職と同じように採用をしていただきたい。盲学校の場合、医学的な勉強をやってきているので、卒業生の進路としてはヘルスキーパーもさることながら、今アメリカなどの医療機関などで電子カルテの入力者、メディカル・トランスクライバーというようだが、こういった新しい業種にどんどん進出して雇用を生み出している。これから横浜市でも既存の職業に合わせて、見えないと「これができる」、「これができない」ではなく、見えない立場でも出来るといった方向の検討をしていただきたいと思う。それから、川崎市とか神奈川県も制度化しているが、ワークアシスタント制度を積極的に導入しないと、いかに働き方改革で政府が4000人採用すると言っても人材がそう出てくるわけではない。視覚障害者に限らず、障害者が働ける環境づくり、ワークアシスタント制度の様な制度を作っていただきたい。そうでなければ障害者雇用なんて進まない。是非検討いただきたい。

事務局)横浜市の障害者の雇用率だが、自治体では2.5%が法定雇用率となっている。横浜市は2.41%ということで達成できていない。今、努力の最中というところだが、国の省庁の様に水増しという事はないので、そこはご安心いただきたいが、達成できていないのは事実だ。雇用行政に関しては本日出席している健康福祉局、こども市少年局、教育委員会など直接の担当ではないのだが、大橋委員がからのご指摘の通り、雇用した後の支援や一緒に働いていくための環境づくりが大切だと思っているので、それも含めて関係局できちんと体制がとれるように検討して、それを実行に移していきたいと考えている。メディカル・トランスクライバーについては不勉強で具体的にはわからないが、ヘルスキーパーなど、ご意見をいただいた事については検討させていただく。雇用率を達成できていないのは事実なので、いただいたご意見も含めて達成できるための努力として何ができるのかを考えていきたい。

鈴木委員)雇用の数値に関しては、ただ単純に数値が達成されればいいというわけではない。ご存じだとは思うが、障害を抱えている方の働き先というのは清掃だったり、軽作業だったりが多くなっている現状がある。個人の能力や、生産性で難しい事もあるかも知れないが、本当に共生社会を目指すというのであれば、幅広い業務内容に就くという内容もきっちりと充実させる中で雇用率を達成させることが社会全体の利益になると思う。そこがなされてなければ、力がそれなりにあっても困難が目立ってしまえば、社会の役に立てない。それは労働力の喪失につながり残念なことだと思う。労力と時間がかかることだと思うが、引き続き個々のケースをより活かすという事をみなさんで考えていければと考えている。

渡部会長)ご指摘の通りだと思う。どう生み出していくか、作り出していくかという中で進めていかなければいけない。そういう時期に来ているのだと思う。事務局は大橋委員、鈴木委員のご意見を踏まえつつ検討いただきたい。

多田委員)プランを推進するためには、人材確保の部分が喫緊の課題だ。これは1年、2年の問題ではなく長いこと横たわっている大きな問題だ。先ほど動画等でそのあたりを進めていく努力をしていただいていると思うが、言ってしまえば、障害のある方たちの生々しい生活の現場という部分に関しては特に人が足りていない。最初の方に相談の話もあった。若いこういう仕事を希望する方は、まず「相談支援をやらせてください」と言われる。すごく格好良く聞こえるだろうなと思う。それも何もかも全て障害のある方たちの生活の場、暮らしの場という部分が拡充されないといけない。現場の中では相談支援の仕事なのか、グループホームの仕事なのか、日中の仕事なのか、それともガイドヘルパーの仕事なのか、それぞれの分野で人の取り合いが起こっている。同じ法人の同じ事業所の中でもそういうことが起こってきている。いろいろな形で方策を練って戦略を進めていただいているのは分かっているが、これで人が足りているという現状はどこの現場にもないと思う。それぞれの現場でできるだけの努力はしていくつもりだが、確保をしていくというところを行政には一番お願いしたいと思っている。

渡邊委員)生活支援センターのサービスの標準化というところについて。モデルを行っているという事もあり、検討中でまだ細かく話し合いができない状況だ。横浜市は全国に先駆けていろいろな事に取り組んできたと思っている。生活支援センターもそのひとつではないかと思う。標準化について、確かにA型とB型では運営時間などいろいろな事にばらつきが多い。それを並べていかなければならないのも分かるが、全国に先駆けていろいろな事をやってきたというのは、地域性を大事にしてきたのではないかと思う。そうすると生活支援センターの標準化と地域性との関係をどのように考えていて、これからどのように進めていくのかをお聞きしたい。

渡部会長)おそらく、標準化と地域性というのは拮抗するものではなく、その中でどういう形で地域に合ったものをという事になっていくと思う。

事務局)会長のおっしゃった通りだ。これまでもバラバラではなく、共通のルールの中で地域性も発揮していただいていたと思う。今、取り組んでいる標準化は生活支援センターが共通して求められている役割に対応するものだと思っている。その中で地域性を実現していただければと考えている。

以上

資料・特記事項
資料1
福祉授産所民営化に伴う法人公募について
資料2
第3期横浜市障害者プランの進捗状況について